皆さんが知りたい、旅館の女将の一日を、いろいろお教えしたいと思います。
見た目は華やかな仕事ですが、実際は肉体労働で、部屋掃除、館内掃除、トイレ掃除、風呂掃除、料理出し、片づけ、食器洗い、布団敷き、布団たたみ。お客様の準備、送迎、会計・・裏方の仕事が山のようにあります。実にたいへんです。
2020年の5月まで、旅館をやっていたので、まだ記憶に新しいうちに書き留めておきたいと思います。
現在は、料理屋とカフェをやってますが、旅館との違いというのをよく感じています。
女将 一日目
旅館と言っても、小さく、家族でやっているような旅館でした。「観光旅館かちま荘」といいます。お客さんは、すべて、予約制でした。
朝起きると、一通り掃除機をかけて掃除し、拭き掃除。トイレ掃除をして、お風呂もきれいにして、玄関を掃除。広いので、ここまでするのが、意外と大変です。
客室に、座布団を敷き、テーブルを拭き、お茶・湯飲み・お茶菓子を置きます。浴衣・丹前・歯ブラシ・タオル・バスタオルを置きます。これで部屋セットは完了です。
各お部屋には、窓からの景色の案内が書いたものが置いてあります。
看板にお客様の名前を書いておきます。
そしてひと段落したら、野菜など、いるものをお店屋さんに買いに行きます。だいたいここまでで、午後1時頃になります。
自分達の昼ご飯を食べて、お風呂のボイラーをつけて、客室の冷暖房もつけておきます。
後は、お客様が見えたら、車で主人が迎えに行くので玄関で出迎えます。
見えたらお客様をご案内して、鍵の説明・夕食の場所・お風呂などを教え、夕食の時間を聞きます。
お部屋には、女将オリジナルの詩をご希望の方にお題を3つ書いてもらい、そのお題を書いた詩を、次の朝までに作成するというサービスもしておりました。
3時ごろから、夕食の支度にかかります。夕食は個室ですが、別部屋を用意してあるので、そちらへお食事の支度をしていきます。
板前は、主人です。まじめで、こだわりが強いので、料理の味は保証付きです。
まず、箸や器などを並べていき、食事の時間に間に合うように用意していきます。
お客様が食事に見えたら、食事の部屋にご案内して飲み物を聞きます。
座ってから、塩焼きとか、フライなど熱々のものを、お出しするので、結構時間がかかります。最後にご飯とみそ汁とデザートをだして、終了。
そのあと、お客様が客室に戻る前に布団を敷きに行きます。
お茶セットの交換もします。その時、必ず、メッセージと、折り紙を置いていました。
布団敷きは、人手があるときには、誰かに任せて、調理場の仕事を続けています。
布団が敷き終わったら、この間に、自分たちの晩御飯を食べます。忙しい時は、晩ごはんの時間が遅くなる時もあります。
お食事が終わったら、片付けて、食事部屋はほうきで掃きます。食器を洗浄機で洗い、片づけます。
朝食の用意で、箸や茶わん湯飲み、卵置きなどを置いておきます。座布団も並べます。明日の朝のご飯をかして、やっと、今日の仕事は終わりです。
ただ、夜11時までは、お客さんのご要望で、ビールを客室に持っていったりします。
女将 次の日
朝起きたら、まず化粧をします。洗濯機をかけて、お客さんの朝ご飯の支度をします。
お客様が朝ご飯を食べているうちに、布団をたたみます。お客さんが続くと、布団を敷いたり、たたんだりの繰り返しです。布団をたたみ終わったら、この間に、自分たちの朝食を食べます。
お客様が朝ご飯を食べ終わったら、片づけ、食器洗い、食事部屋のほうき掃き。間を縫って、洗濯を干して、
お客様が帰るときに、お会計。「ありがとうございます」そして、港まで、車で送ります。
そのあと、部屋を片付けて、掃除機、拭き掃除。トイレ掃除。すべて片付いて、洗濯も干し終わると、たいてい昼近くになります。
旅館 対 ランチ
旅館は予約制なので、予約の入っていない時は完全に自由という利点はありますが、お客様の入っているときは、夜遅くまで働くし、朝は早くから働きます。
布団を敷いたり、しまったり、という仕事が案外大変です。また空いてる日でも、布団・座布団の夏冬入れ替えなどすごく重労働です。
部屋掃除も、旅館の方が、大変です。ランチなら、食器の後片付けも、すごく楽です。
旅館は、送迎をするお客様が多いですが、ランチは歩いてきてくれます。
ただ、旅館は、一人当たりの単価が高いので、売り上げは料理だけ提供するより、少人数でも、多くなります。売上の多さでは、勝てません。
宿泊で3万円売り上げは、簡単ですが、料理だけ、ましてや、ランチで3万円売り上げするのは大変です。
旅館は、一度に入るお金は大きいですが、毎日入りません。ランチは、少額ですが、日銭が入ります。それに伴う経費も、旅館は高いので、利益を考えると、どちらがいいとは言えません。
旅館 対 ランチ どちらも大変ですが、お客さんのある時には、旅館の方が大変。人手もいるので人件費もかかります。
ランチは時間との勝負というところがあり、一時、忙しい時には、戦争状態になります。
旅館は、予約制だから、ゆったり支度ができるのに対して、ランチはいつお客様が入るかわからないので、時間内は、常に、気が抜けない感じです。けれど、時間外、夜は、仕事はないので、自分の自由時間になります。
旅館はバーッと働いて、バーッと儲ける。ランチは、地道にコツコツ儲けるという感じかな。
どちらにしても、接客業としての基本は変わりません。お客様に喜んでもらおうとする精神は一緒です。
今だからこそ、両方の職業の違いが身をもってよくわかります。
とにかく、今できることを精一杯していくだけです。
人生は楽しまなくちゃもったいない。
また、たーこブログでお会いしましょう。
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